世界一詳しいWR250R/Xのステムベアリング清掃【フロント全バラ】

けん

不安なショップにぶん投げよう!
めんどいのウェルカムな変人に向けてやり方を解説するよ。

ステムベアリングのグリスアップしてますか?
何年も整備してなくて「なんそれ?」って感じの人はヤバいかもしれません。

あくまで「私はこうやったよ!」という紹介記事です!
ステムベアリングの締め方には色々作法があるようなので、必ずしも本記事の内容が正しいとは限らないです。

動画もあるんだ

けん

作業が長すぎてまだ動画編集中です。
近々で公開するのでお待ちください…。

ステムベアリングってなんぞ?

ステムベアリングとは、ハンドルを切った時動くステムのベアリングのことです。

ハンドルの中心下にあるベアリングです

このベアリングの動きが渋いとハンドルを切った時にぎこちない動きになり、運転にとても支障が出ます。
この運転にめっちゃ影響する部分を定期的に注油しようぜ!というのが本記事のグリスアップです。

グリスで動きが飛躍的に良くなる!
というより、グリスが切れると錆びて動きが悪くなるので、予防的にグリスアップしましょう。ってことです。

お買い物リスト

けん

一般的な工具は持っている前提で書くよ。
全く工具持ってない、って人は諦めてショップに投げよう。買ってもいいけどショップに頼んだ方が安いと思います。

グリス

純正推奨はヤマハグリースBです。
が、結局リチウム系のグリスならなんでもOKだと思います。トラスコの蛇腹とか。

今回はオフローダー御用達の耐水グリスMAXIMAを使います。
濡れやすいリンク関係のベアリングやホイールシャフト周りで重宝します。

ステアリングステムレンチ

けん

いきなりマニアックな工具
メガネくらい長いタイプもあるけど、最終的にトルク管理しないとダメなので3/8のラチェットハンドルで締められるタイプがオススメ。

トルクレンチ

ステム周りはトルク管理必須です。
オーバートルクはハンドルが硬くなりますし、トルク不足は言うまでもないですね。
測定精度の誤差が大きい安物でも良いので、あるとかなりマシです。

けん

せめてもの抵抗で国産のリンクを貼っておきます。

27mmの長い工具

ステムのナットが27mmと大口径かつ120Nmとクソ強トルクで締まっているので、27mmの長い工具が必要です。

けん

その辺のラチェットハンドルに27mmソケット付けたくらいじゃ全く緩まないし、規定トルクで締められない。諦めて買いましょう。

ここから作業手順の解説!

けん

地獄の始まりだー!!!!

メンテスタンドに上げる前にネジを緩めておく

大きくトルクがかかるネジはジャッキアップする前に緩めておきましょう。
この過程を飛ばすと後で相当めんどくさいです。

まずはフロントホイールのアクスルナット

あとはアクスルナット周りの4点

ハンドルの4点も緩めて

ステムナットも緩めてしまいましょう。ここが27mmのレンチを使うところです。
120Nmで止まっているので固いです。ロングレンチでやりましょう。

ジャッキアップして各部品を外す

いよいよジャッキアップしましょう。

アクスルナットを完全に外したら、アクスルシャフトを叩いて抜きます。

けん

しばらくアクスルシャフト抜いてない人は固着してるかも?
硬い場合は左右のフォークを押さえつつゴムハンマーでやさしく叩きましょう。

フロントフェンダーも裏の4点を緩めて外します。

ヘッドライトも外します。
赤丸の2点を外して…

ヘッドライト裏のカプラーを外します。

ブレーキキャリパーも外します。
赤丸の位置のネジを外して…

キャリパーを落ちないように固定しておきます。

画像ではシート上にキャリパーを置いてるけど、良い子はどこかにタイラップ等で固定してね。
けん

あられもない姿になってしまった。

既にめっちゃ大変でしたが、ここからが本番です。

フォーク取り外し

フォークも取り外します。

ここまでやるならフォークオーバーホールをしても良いかもしれません。
別途やり方は記事を書きます。

まず突き出し量を測り、写真を撮っておきます。
(ペンでマーキングしてもOKですが、私は汚したくないんでやりませんでした)

次にトリプルクランプの赤丸部分を緩めます。

もうフォークを止めるものは何もないので引っ張れば外れる状態ですが、たいてい固着してます
マイナスドライバーでここを抉ります。

こじりながら外せばフォークが抜けるはずです。

外れました!

トリプルクランプ取り外し

あとはトリプルクランプを外すだけ!
事前に緩めておいたステムナットを外すとトップブリッジが取れます。

トップブリッジをズラすと何やら見たことのないナットがついています。
ひとまずこのキャップは外しましょう。

残った見たことないナットは、このステアリングステムレンチを使って緩めます。
9.5mmのハンドルを接続して反時計回りに外すだけです。

完全に外すとトリプルクランプが下に落ちるので注意!

こんな順番でパーツがついてます。

あとは下側からトリプルクランプを外すだけ!お疲れさまでした。
外れたものがこちら。

ステムベアリングの清掃/注油

外したトリプルクランプと車体側の穴をお掃除します。お掃除前の姿がこちら。

ベアリングもグリスだらけです

年数が経っている人はベアリング自体を新品に変えてしまうのもアリです。
ちなみに、ベアリングを新品にする際は必ずベアリングレース(受け側のリング)も新品にするようマニュアルに書いてあります。

綺麗にするといってもパーツクリーナーをぶっかけるだけです。

綺麗になった姿がこちら!

けん

綺麗になるもんだ!
このときベアリングレース(ベアリングがハマる溝の方)の縦線を指でなぞってみて、爪が引っかかるくらいならベアリングレースとベアリングは交換時期です。

べっちゃりとグリスを付けて完了!

はみ出たグリスは拭いておきましょう。

トリプルクランプの取り付け

あとは元に戻すだけです。
トリプルクランプを付けて、仮留めします。

ここで再度ステアリングステムレンチの登場です。
トルク管理が特殊なので注意してください。

トルク

1回目:38Nm
2回目:7Nm
(サービスマニュアルには「1回目で締めた後、1度完全に緩める」と記載があります)

このとき、ステアリングステムレンチの取り付け角度はハンドルに対し90度が正しいです。

下の画像のように水平に付けてしまうと、工具の全長が変わってしまい設定トルク値の補正が必要になります。

水平に装着した場合の補正値計算。めんどい…。
けん

補正するのが面倒臭い!と言う人は素直に90度で取り付けて締めよう。
私は知らずに水平に付けて補正値計算して締めたよ。

この時点でステムを左右に振って固くないか確認しましょう。硬い場合は一度緩めて締め直しです。
(手の感覚を重視してトルクを測らないショップも多いようですが、マニュアルには規定トルクが記載されているため今回はトルク設定して締めました)

各部品戻し

あとは各部品を戻すだけ!
各規定トルクはこんな感じです。

フォーククランプ周り

(2023/9/25追記)
ちなみにバイク整備士の知人曰く、締める順序は以下が良いらしい。
①トリプルクランプ上
②ステアリングステムナット
③トリプルクランプ下
(マニュアルには一切書いていない作法…知らないことばかりですね)

フォーク突き出し規定量は3mm
キャリパー周り
足回り
ハンドル周り。ハンドルは進行方向側を先に締めましょう。
けん

トルクを守らないと死ぬネジは規定トルクを書いたつもりです。
が、他にも緩めたネジがあったはずなので、全部指差し確認しましょう。
ネジが余ったけどまあいいか…、は大変危険な整備箇所です。

動作確認!いきなり公道に出ないように!

バイクの動作全てに係ることなので絶対にいきなり公道に出ないでください。

動作確認リスト
  • ハンドルはスムーズに動くか
  • フロントタイヤはスムーズに回るか
  • フロントブレーキが掛かるか
  • ネジは全て締めたか(緩めたネジの指差し確認)

けん

ブレーキキャリパーを外しているので、最初の数回はブレーキの効きが甘いと思います。何度かブレーキレバーを握ったあと公道に出ましょう。

まとめ!これ自分でやる?

以上、ステムベアリング周りのオーバーホールでした!
…が、これ自分でやるの超大変じゃないですか…?
仲の良いショップがいれば迷わずブン投げる作業でした。

けん

お勉強がてらやるなら良いと思います!
節約したいだけなら、工具代がバカにならないのでお勧めしません!

6件のコメント

実際に整備をする際の苦労しそうな場所の解説や細かいトルク表記
いつも整備する際に参考にさせてもらって助かってます

これからも活動応援してます。
今後はステムベアリングの交換期待しています

ありがとうございます。ステムベアリング交換はレースと一緒に交換になるので非常に難易度が高いんですよね…。
一応サービスマニュアルにもやり方が書いてあるのですが、打ち込みの深さ等を感覚で作業をする必要があり、、、ちょっと素人整備には厳しい気がしています。

初めまして。いつも楽しく拝見させていただいております。

トリプルクランプの取り付けですが、サービスマニュアルには1回目の締め付け(38Nm)を完全に緩めた後、再度7Nmで締め付けると書いているようです。

再度マニュアル見直しましたがおっしゃる通りの記載でした。ご指摘ありがとうございます。
記載修正しました。。あとWRのナットも念の為1度緩めて7Nmで締め直してきました。

コメント失礼します
ステアリングステムナットを締めるタイミングですが
理想はアクスルシャフト、フォーク、ステム、トップブリッジの関係がねじれていないのが理想になりますよね

なので全て仮締めしてフォークをブレーキかけずにストロークさせて馴染ませて本締めしてまた少し緩めてとやっていくとそれぞれの関係がでますよ、
参考動画貼り付けておきます
https://www.youtube.com/watch?v=dYSPpyjD7JU

コメントありがとうございます。非常に参考になります。
この記事は色々な諸先輩からSNS等でもご意見いただき本当に適当だったなと…笑
共有いただいた動画も見て勉強させていただきます。

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