「ヤマハのトレール(公道用)オフロードバイクで最速の車種はなんですか?」
そう訊かれた時、バイク好きの方の意見は、4stのWR250Rと2stのDT230LANZAに分かれると思います。
# WR250FやWR450Fなど、レーサーに灯火類を付けたバイクは除きます。
どちらも2020年4月現在で販売終了となっており、乗り比べられる機会は非常に少ないと言えます。
しかし、ラッキーな私はその機会に恵まれました。
今、最強のオフが欲しいと考えている人に向けて、どちらのバイクを買うべきか比較してみます。
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1. 比較対象

比較対象は私のWR250X(オフ化済)と、友人のランツァです。
1.1 WR250X(オフ化済)

WR250R/Xは2007年に発売された。
WR250RはオフロードのYZF-R1を目指して作られた公道トレールで、国内の公道モデルのトレールとしては初めてアルミフレームを採用。
現在、日本で販売されている250ccトレールモデルのなかでは一線を越えたスペックを誇る。
参考:wikipedia
WR250Xにオフロードホイールを装着し、仮想WR250Rとしました。
WR250Xは2017年式、ホイールはWR250R純正を使用しています。
吸排気系は弄っていませんので、メーカー諸元通りの出力特性となります。
厳密にはWR250XとWR250Rでブレーキ、サスペンションが異なりますが、公道使用する分には誤差の範囲です。
1.2 DT230LANZA

DT230LANZA(ランツァ)は1997年に発売された。
DT200WRのエンジンを224ccまで排気量をアップさせて搭載し40psを発揮させた。
2スト版のヤマハ・セローとして、今なお人気の高いオフロードバイクのひとつとなっている。
参考:wikipedia
今回使用したランツァは後期型(1999年式)、吸排気系ノーマルは弄っていないのでメーカー諸元通りの出力特性となります。
全体的にノーマルのままであり、年式を考えると素晴らしいコンディションと言えます。
2.レビュー
2.1 総評
どちらも非常に素晴らしいバイクです。
乗っていて素晴らしく楽しい。
これを公道で走り、ツーリングにも使えるメンテナンスサイクルのバイクとして販売したのは本当に素晴らしい。
どちらのバイクにも長所、短所があり、一概にどちらが優れているとは言えません。
2.2トルク/馬力の比較
諸元の比較
みなさんが一番気になるであろうトルク/馬力です。
まずはメーカー諸元を見てみましょう。
※赤字が比較して優れている箇所
WR250R | ランツァ | |
排気量(cc) | 249 | 224 |
最大トルク(N•m) | 24 | 36.3 |
最大馬力(PS) | 31 | 40 |
乾燥重量(kg) | 121 | 114 |
パワーウェイトレシオ(kg/PS) | 3.9 | 2.9 |
ランツァ圧勝!
排気量はWR250Rの方が25cc多いにも関わらず全ての数値でランツァが圧勝しました。
乗った感想
乗った体感速度もランツァの方が明らかに速いです。
ランツァはスロットルを乱暴に開けると、大排気量に乗ったようなGを感じます。
WR250Rは落ち着きながらも力強い加速をします。
一言で言うと、WR250Rは250ccの中ではかなり鋭い加速をする。ランツァは230ccとは思えない加速をする。
体感的には、ランツァはそこらの4st400ccより鋭い加速をします。
しかし、ランツァに驚くのはあまり回さなくても走ることです。
いくつかの2stに乗りましたが、回してパワーバンドに入れないと思った加速をしない車両が多かったです。
対してランツァは低回転からモリモリ加速します。
街乗りで加速が遅く困らないのは良いですが、オフロードで扱うのはかなり大変そう…と言う印象です。
2.3 ブレーキの比較
諸元の比較
こちらもメーカー諸元を見てみましょう。
※キャリパーポッド数は多いほど、ブレーキディスク径は大きいほど止まりやすいです。
WR250R | ランツァ | |
フロントキャリパー | 2ポッド | 2ポッド |
フロンドディスク径(mm) | 250 | 220 |
リアキャリパー | 1ポッド | 1ポッド |
リアディスク径(mm) | 230 | 220 |
こちらはWR250Rが勝利、開発コンセプトがレーサー寄りなこともあり、よく止まる装備にしてあります。
乗った感想
乗った感想も、明らかにWR250Rの方が止まります。
2stの特性上エンジンブレーキが弱いため、より一層ブレーキ力が低いように感じます。
ブレーキ性能自体もWR250Rの方が高いように感じますね。
2.4 サスペンション
諸元の比較
こちらもメーカー諸元をみます。
WR250R | ランツァ | |
フロントフォークタイプ | 倒立 | 正立 |
フロントフォークインナー径 | 46 | 41 |
リアショックタイプ | シングル | シングル |
こちらもWR250Rに軍配が上がりました。
WR250Rには、250ccに不釣り合いなKYB製フォークがついています。
リアサスペンションは両車両とも別体タンクのショックがついています。
乗った感想
WR250Xのサスがついているため、圧倒的にランツァのサスペンションの方が柔らかかったです。
ランツァに軍配!と言いたいですが、WR250Xとの比較ではなんとも言えません。
今回の比較ではどちらが優れているとは言えないですね・・・。
2.5 足つき
諸元の比較
オフロードを走る上でも大切な足つきです。
足つき = 車高の高さとして比較します。(本当はシート幅等も影響しますが…)
オフロードバイクの車高は、用途によって高い/低い方が良いか変わってきます。
街乗りや林道では足を付くことが前提なので足つきは良い方が好ましいです。
逆に、モトクロスをやるなら足を付かないことが前提なので、車高は高くして走破性を求めた方が好ましいです。
では、車高の諸元を見ましょう。
WR250R | ランツァ | |
シート高(mm) | 895 | 865 |
乗った感想
明らかにランツァの方が足つきが良いです。
173cmの筆者が乗ってみるとこのくらい違います。

WR250R両足つま先立ち

ランツァ両足ベッタリ

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2.6 メンテナンス頻度
この辺は大きな差が出ます。
WR250Xを買って3年目の私は故障歴ゼロです。
ランツァは以下のような故障がありました。
・納車当日にジェネレーターが壊れて灯火類が徐々に弱って最終的にヘッドライトもメーターも消えた。
・1日の初めのエンジンの掛かりが悪い。
・ガソリンはあるのに謎のエンストをすることがある。
20年も前のバイクですから、状態が良くてもどこか壊れていますし、直しながら乗ることが必要です。
パーツも少なくなってきているので、今が最後のチャンスかもしれません。
2.7 燃費
諸元の比較
諸元を比較すると、なんとランツァの方が燃費が良いというデータに!!
WR250R | ランツァ | |
燃費(km/L) | 34 | 40 |
ガソリン種別 | ハイオク | レギュラー |
実燃費
実燃費はWR250Rの方が良いようです。
WR250Rはだいたい27km/Lくらいの燃費です。
私の給油時の実測は27km/Lくらいで、口コミサイトもそのくらいです。
ランツァはだいたい15km/Lくらいのようです。
口コミサイトの平均は17km/Lくらいのようでした。
2stは回して走る乗り物なので、燃費は当然悪いですね。
コレは欠点ではなく、仕様と言って良い気がします。
3.まとめ

まとめるとパワーはランツァ、ブレーキングやサスペンションはWR250Rの方が優れている。と言えます。
ブレーキやサスペンションが活きるオフロードを走らせて速いのはWR250Rですが、街中で0-100km/hの加速競争をしたら速いのはランツァでしょう。
僕個人の感想を言うと、「ランツァをオフロードで扱える気がしない」ですね。
繰り返しですが、ランツァはマジで速いです。
私は元YZF-R1に乗っていましたし、ランツァのオーナーもMT-09トレーサーを所持しています。
その2人が口を揃えて「速い」と言うんだから、250ccに限らずコレは本当に加速の速いバイクです。
2stの中では初心者向けとか言われますが、オフロードでパワーバンド使おうと思ったらぶっ飛んでいく気しかしません。
正直、中型免許取ったばかりの学生がこんなバイク乗ってパワーバンド使って走れって言うのは、1990年代はとんでもねえ時代だったな、と思います。
メンテナンスは覚悟が必要ですが、今しか乗れないので、圧倒的加速を味わいたい人はランツァオススメですよ!
今後どんなに技術が進歩しても114kg/40馬力のバイクは出ないです。
2020年に、この販売終了のバイクを非常に良い状態で乗り比べられたことは、本当に幸運で貴重な体験でした。
どちらのバイクも本当に素晴らしく、どちらも所持したいとすら思います。
ヤマハがまたこんなオフロードバイクを作ってくれることを心から願っています。
頑張れヤマハ!
WR250R(DG15J)と比較するならDT200WR(3XP)じゃないんですか?
DT230LANZA(4TP)はエンジンは改良されてますけど車体に関してはDT200R(3ET)の焼き直しですから。
最強の、という観点で比較するのであれば、仰る通りです。ぐうの音も出ません。
ただ、DT200WRと比較の機会がなかったので、、ご容赦ください。
無粋な突っ込みにご返信いただきありがとうございます。
そもそもDT200WRが無ければ比較しようがないですもんね。
何れにせよ国内メーカーでレースに使えるくらいの性能の
公道モデルがまた出てくれないものかと思います。